三角関係

さらにまた、これも一カ月ほど前の新聞記事でしたが、妻の他に女をこしらえ、女に金をみつぎすぎ、そのために、事業資金のヤリクリがつかなくなり、あげくのはて、子供三人と妻を道づれに一家心中をしようと十国峠に行き、自分だけはどうしても自殺ができないで、とうとう、自首してでた男の話がのっていました。この男がなぜ妻と三人の子供を道づれにするかわりに、情婦と心中しなかったのか、その間の理由は新聞記事だけではわかりませんが、ようするにこの男は、妻をひとりの女性として見るかわりにただ「妻」としてのみ眺めていたにすぎないように思われます。いいかえれば、妻とは、夫である自分が失敗しつまずいた時にも、無条件に自分を受け入れてくれ、自分といっしょに悲しんでくれる人間であり、同時にまた、妻とは夫のつごうしだいでどうにでも処分することのできる夫のもちものにすぎないlと、この男は考えていたのでありましょう。妻は妻であって女ではない。だから、妻の他に女をもってもいい、女と恋をしてもいい、いいかえれば、「女房は女房さ」というあの古めかしい、しかし今日の過半の男性のうちにも見いだされるという意味で、いちがいに古めかしいとはいいきれない思想が、この男をして、容易に三角関係を結ばせ、しかも、その三角関係の清算に、自分の所有物である「妻」を道づれにさせ たのでありましょう。前を向いて進んでいきましょう。あなた次第です。


出典:

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